■低炭素社会の先進的エコ住宅:LCCM住宅
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 LCCM住宅デモ棟の計測に基づく運用時の省CO2の可能性

 LCCM住宅デモンストレーション棟において特徴的な各季節に居住状態を模擬した実測を行うことで、2009年度の検討により導入された設備機器等のエネルギー消費(生産)量を確認し、設計時のシミュレーションの妥当性を検証するとともに、ライフサイクルでカーボンマイナスとなることを確認しています。

 模擬居住実験の方法

(1) 日程
  2011年  3月  1〜  7日
  2011年  8月  6〜13日
  2011年11月  2〜  8日
  2012年  1月27〜31日

(2) 測定項目
@エネルギー消費(生産)量
 電力:用途ごと消費量、太陽光発電パネルによる発電量
 ガス:給湯用
A温熱環境
 各室温湿度、外気温湿度、サーモカメラによる熱画像
Bその他
 給湯温度、流量、室内照度、温熱環境に関するアンケート

(3) 実験の方法
 実験期間中4人家族の平日を想定して、暖冷房、給湯、照明、家電などを稼働させました。
また、写真1に示すように外界条件や室内条件に応じて建具の開閉を実施しました。

写真1 外界条件や室内条件に応じて建具の開閉を実施
写真1 外界条件や室内条件に応じて建具の開閉を実施


 模擬居住実験の結果

(1)日射取得の様子
 図1に日射の取得状況の例を示します。冬期には縁側部分への日射熱が蓄熱され、日射が当たらなくなっても20時くらいまで放熱されている様子がわかります。 図1 日射取得の様子(2011.3.8 晴れ)
図1 日射取得の様子(2011.3.8 晴れ)

(2)気温等の経時変化
 図2、図3に室温等の経時変化の例を示します。夏季の例では猛暑日であったことから終日エアコンを使用しました。日中の室温は高めだったので、何らかの対策について今後検討の必要があります。冬季には朝のみエアコンを使用すれば就寝時まで18℃以上を保つことができました。昼過ぎには室温が上がりすぎるためリビングでは日射を遮蔽して調整しました。ただし、ワークスペース(2階)は、日中使用しないためそのままにして熱を蓄えておきました。 図2 夏季における室温等の経時変化の例(2011.8.10 晴れ)
図2 夏季における室温等の経時変化の例(2011.8.10 晴れ)
    <空調モード>
    ・24時間冷房運転とした。
    <室内環境>
    ・就寝時前日より低めに26℃設定にすると少し冷えすぎた。
    ・10日は最も暑く、昼間は冷房をできる限り強くしても 室温を30℃程度にするのが
     限界だった。
    ・就寝時にも外気温28.6℃で蒸し暑いが、就寝時は27℃設定で十分すごせた。


図3 冬季における室温等の経時変化の例(2012.1.30 晴れ)
図3 冬季における室温等の経時変化の例(2012.1.30 晴れ)
    ・エアコン暖房は朝方のみ運転した。
    ・2階においては昼間よく暖まり、24時まで18℃以上を保てた。

(3)エネルギー消費量の内訳
 図4にはエネルギー消費量の内訳の例を示します。今回のLCCM住宅デモンストレーション棟では、暖冷房、給湯、照明などのエネルギー消費が少なくなることに注意して設計したため、相対的に家電のエネルギー消費量が大きくなりました。 図4 冬季におけるエネルギー消費の内訳
図4 中間期におけるエネルギー消費の内訳
    ・実験期間を通じて、空調(エアコン)は不使用で過ごせた。
    ・消費エネルギーはCO2換算値で、5 kg/日 強。
    ・天候に左右されずに、毎日ほぼ同量の割合であった。
    ・各用途の電力は負荷側の測定値
    ・電力CO2換算値は、0.561 [kg-CO2/kWh]を使用 
    ・FC発電ユニットの、ガス消費と発電量は相殺するものとして、発電ユニットガス量は
     除外
    ・調理は、自立循環の消費エネルギーを用いて都市ガス使用として算出

(4)CO2の収支
 図5〜図8に各実験におけるCO2の収支を示します。日照条件により大きく影響されましたが、日照が特に少ない日以外では、エネルギー消費によるCO2の増分よりも太陽光発電によるCO2の削減効果の方が大きくなりました。
 図9、図10に今回の実験データを元に予測した年間のCO2の収支を示します。給湯設備により若干異なりますが、概ね毎年3tのCO2を償還することができることがわかりました。
 図11には、建設時等を含めたCO2排出量とCO2削減量の積算値を示します。約30年でCO2削減量がCO2排出量を上回ることが示されました。 建設時等におけるCO2排出量の精査や住まい方の影響などについても、今後検討を加えていく予定です。 図5 冬季(2011.3)におけるCO<sub>2</sub>の収支
図5 冬季(2011.3)におけるCO2の収支
    ・冬期は、実験日平均で9.1 kg/日の償還を実現。


図6 夏季におけるCO<sub>2</sub>の収支
図6 夏季におけるCO2の収支
    ・夏期は、実験日平均で14.7 kg/日の償還を実現 。


図 7 中間期におけるCO<sub>2</sub>の収支
図 7 中間期におけるCO2の収支
    ・中間期は、実験日平均で5.5 kg/日の償還を実現。
    ・天気が良い日には、他の季節の実験結果と同様に10kg/日以上の償還を達成した。
    ・11月6日のように、天候が悪く太陽光発電量が少ない場合には、償還しない日も
     あった。


図8 冬季(2012.1)におけるCO<sub>2</sub>の収支
図 8 冬季(2012.1)におけるCO2の収支
    ・2011年度冬期は、実験日平均で12.7 kg/日の償還を実現 。
    ・5日間ずっと晴れていたため、2011年3月より多い結果となった 。


図 9 年間排出CO<sub>2</sub>の算出結果(燃料電池使用時)
図 9 年間排出CO2の算出結果(燃料電池使用時)


図 10 年間排出CO<sub>2</sub>の算出結果(太陽熱対応エコキュート使用時)
図 10 年間排出CO2の算出結果(太陽熱対応エコキュート使用時)


図 11 LCCO<sub>2</sub>の算出結果
図 11 LCCO2の算出結果




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