■建築研究報告

住宅需給構造に関する研究

三宅  醇

建築研究報告  No.66,  1974  建設省建築研究所


<概要>

  この研究報告は、建研住宅計画研究室において、筆者の担当として実施したこの数年間の研究を、現時点でとりまとめたものである。
  当研究室では、昭和40年度から44年度にかけての建研特別研究「住宅の居住水準と量産建設方式」の小テーマ「都市における住宅・宅地需給と居住水準に関する研究」(昭和42年に住宅計画研究室が新設されるまでは建設経済研究室で担当)を行い、続いて昭和45年度以後48年度までの一般研究「都市における地域的住宅需給構造に関する研究」を行った。
  これらのテーマは、かなり大きなものであり、担当者によって細分化したテーマをもった。例えば、宅地需給に関する研究、住宅管理・住宅経営に関する研究、住宅移動に関する研究などがあるが、住宅需給の階層的・地域的な構造に関する研究については筆者が主として担当したが、その一応のまとめが、この報告である。
  この間に、上記の研究に関連してレポートとして発表された研究報告は、別表の如くである。この内6点は、部内資料としての扱いで、その時点の一応のまとめを行ったものである。内容的には、(1)住宅需給の実態を大数調査によって構造的に把握しようとするもの、(2)木賃アパート・鉄筋アパートなどの民間賃貸住宅の需給実態に関するもの、(3)宅地の需給に関するもの、(4)公的賃貸住宅を居住者・申込者の実態に関するもの、(5)外国文献の翻訳に大別される。この内、筆者が中心的研究課題としたのが、(1)、(2)であり、この報告は、この部分を中心にして構成し、住宅需給の全体構造に関するものを第1編、民間アパートに関するものを第2編とした。これらの既存のレポートも、主要な部分をとり出して再構成する作業を行っており、データに新しい位置づけを与えている。
  この一連の研究の筆者担当の分についてみれば、昭和47・48年度にも「持家階層−特に低水準建売住宅−の調査研究」として、継続しているが、これは別途にとりまとめる方が適当と考え、ここでは除いている。また昭和46年度に行った「民間中高層住宅の建設実態に関する調査研究」は、第2編においても主要な位置を占めるべきものであるがすでに建築研究報告(No.62)として刊行ずみであるので、ごく概略のみを掲載するに止めた。
  この報告は、総論としての第1編と、各論の第一としての民間アパートに関する第2編からなるが、その他の住宅型、例えば、持家階層、公的住宅階層、給与住宅階層等々についての各論、及び、それらの全体を取り扱う総括論文は、別途なされるべきであり、これは近い将来に報告を行いたいと考えている。



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