■建築研究報告

材料設計に関する研究

材料設計研究委員会

建築研究報告  No.44,  1965  建設省建築研究所


<概要>

  建築材料の研究を行っていて痛切に感ずることは,われわれの研究結果が,建築設計に十分に活用されていないということである。この原因は,建築材料に関する研究が,建築技術をよく理解しないで行われているための場合もあるが,多くは,材料の研究と建築の設計との間の仲だちとなる分野の研究が不足しているためである。この意味から,建築材料についての研究のやり方を,もう一度考え直す必要があると思われる。
  当研究所においては,昭和35年以来,第2研究部の研究員を中心として,第4,第5研究部からも応援を得て,建築材料の研究体系をどうすれば建築設計にもっとも便利に使用されるかを研究してきた。始めの間は雲を掴むような議論を繰り返していたが,研究の進むにつれて,その輪廓が明らかになると同時に,この研究がいかにも広範囲で,かつ困難であることが分かってきた。
  爾来,研究会を重ねること171回,作業は大いに進捗したが,一方では,今から実施しなくてはならない研究分野がますます拡がっていき,これを完成させるにはあと何年かかるかは想像もできない状況である。
  ここに,一応現在まで得た成果をまとめて,われわれの研究の目的や方法の現状を紹介し,各方面のご批判を求めるとともに,ご協力をお願いする次第である。
  以上のような次第であるから,この報告はまだ不十分な点ばかり多く,将来これを発展していくに際しては,訂正あるいは改正しなくてはならないことが多多あると思われる。われわれは将来もこの研究を続け,第2報以下を発表していく予定であり,その節に不備な点は補っていくつもりである。

昭和40年3月

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