■建築研究報告 |
建築物の風上前面に於ける風壓分布の理論解法 龜井 勇 建築研究報告 No.4, 昭和25年5月 |
<概要> |
建築物の構造計算に於ける風壓力は速度壓qと風力係數Cとによって求まる。この風力係數Cは次の風壓係數Cpの平均壓力であって,種々の家形によって異る。更にこの風壓係數Cpは從來種々なる形の建物模型により風洞實驗を行ひ,その値を計算に取り入れている。しかし風洞實驗は費用もかゝり,且つまた特殊設備を必要とする等,種々と困難なることが多い。 從ってこれに對處するべく,本研究は建物の種々なる屋根配による風上前面の風壓分布を理論的解法によって第一近似値を求めたものである。 解法は先ず風は渦を生じない完全流體として,その流れが建物の後面に回らずに棟の點で剥離して自由流線となると考える。從ってその剥離點で不連續流となるので流體力學に於ける完全流體の不連續流の理論を應用して等角寫像により棟方向を無限遠として二次元解法を行う。この結果を更に同型の家形模型により風洞實驗を行ひその値と比較檢討し,伴せて理論解法による風壓分布の適用性を吟味したものである。 |