■建築研究報告 |
特殊不燃構造住宅の材料、構法ならびに室内気候に関する実験研究 住宅構造実験研究委員会 建築研究報告 No.20, 1956 建設省建築研究所 |
<概要> |
建築研究所では建設省住宅局の委託により、昭和24年度以来不燃住宅構造の実験研究を行ってきた。従来は戦後の共同住宅に最も多く応用される所謂壁式鉄筋コンクリート構造の耐力試験、各種コンクリートブロック造の耐力試験ならびに火災試験、特殊コンクリート構造規準作成のための基本実験、鉄骨軽量構造の耐震・耐火試験、所謂Low-cost不燃住居の耐力試験等、主として不燃住居の構造をどのようにして経済化し得るかという点に主眼を置いて研究を続けてきた。 昭和30年度は従来の構造研究の中、残された問題であるところの薄肉ラーメン構造部材の精密実験、ブロック造の合理的計算の根拠となるべき各種の耐力データを求める実験、床版・帳壁等の耐火・耐力研究の他、最近新しく採り上げられつつあるプレキャストコンクリート構造接合部の耐力研究を行ったが、さらに従来の研究の重点が不燃住居を構造的にどこまで経済化し得るかという点に置かれていたのを本年度よりは多少その方向を変え、これ等の経済化された不燃住居の居住性をどのようにして合理的に向上させるかという方面の研究にも着手した。すなわち、コンクリートブロック造については、その欠点として指摘されている防水性能の改良に、Low-cost簡易耐火造あるいはアパート造に対してその室内気候の実情把握と向上方法に研究が向けられたのである。 以上の総合課題は、それぞれ研究を異にする研究員の協力を必要とするので、研究所内に住宅構造実験研究委員会を設け、これら研究の総合調整と促進については特に久田第3研究部長を煩わせて、所期の成果を挙げることができた。 しかし、これらの研究の一部はさらに研究を継続し、今後とも忍耐強い努力を続けなければならないし、また既成の研究もこれを実用化するためには行政方面、実務家方面の非常なご協力とご鞭撻とご叱正を得なければならない。 なお、最後にここ数年間不燃住宅構造研究のため、住宅構造実験費を提供された本省住宅局に対し厚く謝意を表する。 昭和31年8月 建設省建築研究所長 工学博士 竹 山 謙 三 郎 |