偏心荷重をうけた基礎盤に関する一実験
大崎順彦, 川崎孝人
建築研究報告 No.18, 1956 建設省建築研究所
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<概要> |
上部構造の形式いかんにかかわらず、独立基礎の基礎盤は偏心荷重、すなわち鉛直方向の中心圧縮荷重と同時にモーメントを受けるのがむしろ普通と考えねばならないが、中心圧縮荷重のみを受ける基礎盤の性状に関するものに比し、偏心荷重をうける場合についての研究は比較的少ない。
偏心荷重をうける基礎盤の問題としては、偏心率によって地盤の耐力がいかに低減するかという強度上の問題と、モーメントによって基礎盤がどの程度回転するか、換言すれば地盤が回転に対してどれだけ抵抗しうるかという回転剛性の問題との2つがある。
これらの問題に関連して、従来慣用的におこなわれている設計上の取扱い方ならびに既往の諸研究結果等を列挙すればおよそ次の通りである。
- 鉄筋コンクリート構造の場合は、充分剛な(最下層内柱の2〜3倍の剛比をもつ)繋梁を設け、柱脚モーメントはこの繋梁によって負担されるものと考え、基礎盤に対しては中心圧縮荷重のみを考慮する。但し実際には、柱脚モーメントは繋梁の曲げ剛性と基礎盤の回転剛性に応じてそれぞれ双方に配分されると考えるのが合理的であり、偏心荷重に対する基礎盤の性状が明らかとなれば、基礎部分に対し等価剛比を考えることによって解決がつく。
- 鉄骨構造等で繋ぎのない独立基礎を採用する場合は、柱脚をピンと考えるか、あるいは柱脚より階高の1/3の点に反曲点があると仮定してモーメントを算出する。これも実際には基礎盤の回転剛性いかんによって反曲点位置が定まる。
- 強度に関しては、わが国で慣用されている計算法は、例えば建築学会基礎構造計算規準、同鉄筋コンクリート計算規準に規定されているように、1図のごとく梯形または3角計の接地応力分布を仮定して偏心荷重に釣合わせ、最大接地応力度が地盤のいわゆる許容応力度以内におさまるよう基礎底面積を算定する方法である。このような接地応力分布の仮定はSchmidtmannの近似解法がその裏付けとなっている。
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