■建築研究報告 |
「地盤の増幅特性を考慮した鉄骨造建築物の耐震性能に関する研究」 大塚 悠里,平石 久廣 建築研究報告 No.151(2022(令和4年) 4月)
|
<概 要> |
近年、鉄骨造建築物は鉄筋コンクリート造建築物や木造建築物と共に地震によって大きな被害を被っている。近年における地震動の被害調査より、鉄骨造建築物では地域や地区によってその被害率に差異が生じたこと、特に中低層の鉄骨造建築物で顕著な被害が発生したことが報告されている。
現在、我が国において建築物の設計には、限界耐力計算(2000年施行)よりも保有水平耐力計算(1981年施行)の方が多く用いられている。保有水平耐力計算では、地盤の増幅特性を振動特性係数により考慮している。この振動特性係数では、地盤の増幅を1種地盤、2種地盤、3種地盤の3種類に分類している。しかしながら、鉄骨造建築物では同じ2種地盤であっても地震時の応答には差異が生じ、3種地盤では地震時の応答が他の地盤種別の応答よりも大きくなることが報告されている。
また、保有水平耐力計算では、建築物の周期として地震時の応答周期ではなく、弾性周期を用いている。このため、中低層建築物では地盤種別に係わらず、振動特性係数がほぼ一定で、実質的に地盤の影響が設計用入力地震動にほとんど反映されていないと言える。
本報告では鉄骨造建築物の耐震性能を把握するため、増幅特性を考慮した地震動を用いて、鉄骨造建築物の耐震性の評価を行った。具体的には、首都圏を例示として、実地盤情報を考慮した表層の地震動を用い、保有水平耐力計算によって設計された鉄骨造建築物の地震応答解析を行った。応答解析結果より、地盤種別の特性と建築物の応答の関係を提示した。
|
|