■建築研究報告

鉄筋コンクリート造建築物の塩害実態調査
−コンクリート中の鉄筋腐食速度に及ぼす塩化物量の影響−

友沢史紀, 桝田佳寛, 阿部道彦, 田中 斉, 安田正雪, 原 謙治, 天沼 邦

建築研究報告  No.118,  1988  建設省建築研究所


<概要>

  海砂を用いたRC造建築物及び海岸付近に立つRC造建築物47棟の塩害調査の結果に基づいて,鉄筋腐食速度に及ぼすコンクリート中の塩化物量,かぶり厚さ,仕上材の厚さ,中性化の有無及び配筋方向等の影響を検討した。調査した建築物の竣工後の経過年数は7〜46年の範囲にあり,多くは10〜20年である。調査箇所数は183箇所で,調査鉄筋の本数は849本であった。調査結果は以下のようにまとめられる。

  1. モルタル塗り仕上げは,鉄筋の腐食抑制効果があり,仕上材の厚さの50%をコンクリートのかぶり厚さに算入することが出来る。
  2. 鉄筋の腐食速度は,かぶり厚さにほぼ反比例し,塩化物量に比例している。
  3. コンクリート中の塩化物量が0.015%未満では,鉄筋の腐食速度は非常に小さく,かぶり厚さが確保されていればRC造建築物の耐久性上は問題ない。しかし,コンクリート中の塩化物量が0.03%以上になると,かぶり厚さが小さい部分での腐食速度が大きくなり,塩化物量が0.06%以上になるとかぶり厚さが十分あっても腐食速度は大きくなる。
  4. コンクリートが中性化すると,腐食速度は大きくなる。
  5. 縦筋と横筋では,コンクリート中の塩化物量が0.03%以上になると,等価かぶり厚さが小さい箇所で横筋の方が腐食速度は大きくなる傾向にある。


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