■建築研究資料

建築のライフサイクルエネルギー算出プログラムマニュアル

小玉  祐一郎*1、澤地  孝男*2、中島  史郎*3

建築研究資料  No.91,  1997,  建設省建築研究所


<概要>

  建築物ライフサイクルにおいては、様々な要因が環境負荷及び地球温暖化の要因となる。建築材料・部材の製造、資材の輸送、現場における施工、建物の使用、維持補修、解体廃棄の各建築活動においてエネルギーが消費され、二酸化炭素が大気中に放出される。
  本研究では、建築物のライフサイクルエネルギーとCO2を分析するためのプログラムを開発した。プログラムは、パソコン上で起動することが可能であり、建築物のライフステージにおけるエネルギー消費量とCO2発生量を計算することにより、初期設計の段階においてエネルギー消費量とCO2発生量を低減するための工夫を行うことが可能である。
  プログラムはいくつかのサブルーチンにより構成されており、建物の種類、建設地、使用される建築材料及び部材、居住者の生活様式、事務所ビルの形態、建設及び解体の方法、資材等の輸送方法などを評価することが可能である。
  本プログラムの中で使用されるデータベースは、膨大な量の調査に基づいて作成されたものであり、産業連関表分析及び積み上げ方式によってデータの収集を行っている。データベースの項目は以下のとおりである。

  1)材料及び部材の製造
  2)建設現場における施工
  3)建物の使用
  4)建物の維持補修
  5)建物の解体廃棄

  プログラムはWindows95またはWindows3.1上で起動する。アイコンをクリックすることにより建築のライフサイクルエネルギー算出プログラムのメインメニューが表示される。メインメニューは14のメニューボタンから構成されており、個々のメニューボタンをクリックすることにより、サブメニューが表示される。入力メニューには7つの項目があり、各項目は以下のとおりである。

  1)建物の種類と大きさ
  2)建物の建設地
  3)使用される建築材料の種類と量
  4)解体廃棄の方法
  5)居住者の生活スタイル
  6)断熱材の種類
  7)設備の種類

  本プログラムでは、建物の仕上げの維持補修に係るエネルギー消費量とCO2発生量は、仕上げに用いられる材料及び部材の耐用年数とエネルギー消費量とCO2発生量のデータベースから自動的に計算される。また、労働者の建設現場への移動によるエネルギー消費量とCO2発生量についても、自動的に計算される。
  計算の結果は、MJ単位またはkcal単位で表示することが可能であり、いくつかの計算結果を比較して図示することも可能である。また、計算結果の詳細をプリントアウトすることも可能である。
  プログラムには3種類のデータベースが納められており、どのデータベースもプログラムのユーザーが実状に合わせて、データベースの値等を修正することが可能である。


*1 第五研究部長
*2 第五研究部設備計画研究室長
*3 第二研究部有機材料研究室主任研究員


建築研究資料一覧へ戻る |  出版物一覧へ戻る



前のページに戻る



 所在地・交通案内
関連リンク
サイトマップ
お問い合わせ
リンク・著作権


国立研究開発法人 建築研究所, BUILDING RESEARCH INSTITUTE

(c) BRI All Rights Reserved