エコシティ=スカイモデル
−その地球温暖化対策に関する検討−
瀬尾 文彰, 小玉 祐一郎, 他
建築研究資料 No.74, 1992, 建設省建築研究所
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<概要> |
現状のままで温室効果ガスの排出が続けられるならば,遠からず地球上に急激な温度上昇が生じ,人間の居住環境に重大な影響がもたらされると,IPCCの報告書(1990.8)は予測している。
住宅・都市・建築のあり方を考える上でも,この問題を避けて通れないのは当然である。たとえば,CO2排出抑制策として「CO2排出の少ない都市・地域構造および住宅・建築構造の形成」が必要であるし,CO2の吸収源対策として「森林・都市内緑地等の緑の保全整備」を図ることも重要である。
そのためには,コンパクトで効率的な都市形成が,省エネルギーと自然環境保全の両立を図る上で希ましい。しかし一方では,コンパクト化は高密度化につながり,居住環境の劣悪化につながるという危惧もある。その兼ね合いが重要である。
本論では,コンパクト化の極端なケースとして1,000M強の塔状都市をとり上げる。
建研では省資源・省エネルギー型の都市をエコシティと呼ぶことにしているが,超々高層の形をとるエコシティ(そういうものが仮にあり得るとして)をここではエコシティ=スカイモデルと呼ぶ。エコシティ=スカイモデルの計画案を作成し,それがはたして地球温暖化問題に貢献するものになり得るかどうか,そして,人々が幸せに住むことの出来る都市になり得るかどうかを,大雑把にであれ見当をつけ,都市のコンパクト化による地球温暖化対策への示唆を得ることが本論の目的である。
検討の結果,設定した計画案によれば,緑地創出効果,省エネルギー効果,環境保全効果,並びに居住環境の面でもまずまずの効果が得られそうだという結論が得られた。これをもって,今後コンパクトな都市形成に関する研究を推進するに当っての一資料としたいと考えている。
なお、本論の検討は(株)竹中工務店と共同で実施された。
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