■建築研究資料 |
No.209号(2023(令和5年)8月) 中野 卓,今野 彬徳 |
<概要> | ||||||||||||||||||||||||||||
これまで我が国では、持ち家の取得による社会的安定性の確保が政策的に推進されてきたが、近年は若年・中年層において借家居住世帯割合が上昇している。この背景には、単身世帯の増加や住宅に対する価値観の変容(定住意識や持ち家志向の希薄化等)、働き方の変化(転職の機会増による住宅ローンへの影響等)があると考えられ、住宅政策における借家居住者層とその居住動向は今後重要性を増していくと思われる。その一方で、持ち家居住者層においても定住意向に変化が生じている。例えば、夫婦共働き世帯の増加に伴う職住近接や生活利便性を重視する居住嗜好の拡大があり、また、戸建て居住世帯ではエンプティネスト期に自宅売却・小規模住戸への転居や、分譲マンション居住世帯でも早期に売却して転居する動向も見られるようになった。このように、住宅の所有形態を問わず、生活様式とライフコースの多様化に伴った柔軟な住み替えが昨今拡大しつつあると言える。
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