都市計画的行為と都市環境の関連分析に関する基礎研究
佐々波 秀彦
建築研究資料 No.14, 1972, 建設省建築研究所
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<はじめに> |
本研究資料は,昭和48年度から3ヶ年計画でおこなってきた「市街地環境制御技法に関する研究」に引き続いて,50年度から5ヶ年計画で実施中の「都市環境保全計画モデルの策定と応用に関する研究」における初年度の成果の一部をとりまとめたものである。この研究は都市環境保全トータルシステムの構築・都市活動と都市環境の関連分析,都市環境指標の設定等5つの中課題から成っており,50年から52年までの3ヶ年間で理論的な手法の開発,53年,54年の2ヶ年間で我国の諸都市に手法を適用することによって,都市計画・地域計画レベルでの環境保全手法を確立することを目的としている。
したがって,本研究資料は研究の初年度として,都市計画・地域計画における環境保全手法を検討するための基礎的な資料を得るために,米国を中心として個別プロジェクト(道路・ニュータウン,再開発・工業団地等)における環境インパクトアセスメント−ボトムアップアプローチ−の対象範囲・手法・評価項目等を明らかに,その限界と問題点を指摘した。さらに,この個別プロジェクトにおける環境インパクトアセスメントに替るものとして,ここ数年の間に実施されつつある総合土地利用計画−トップダウンアプローチ−の背景・評価項目と評価方法等を検討し,その対象範囲・限界・問題点等を明らかにした。そして,このボトムアップアプローチとトップダウンアプローチ−の2つの方法の限界・問題点を踏まえて,双方の役割分割を中心として,評価項目別に検討し整理をおこなった。
以上述べた研究は,下に示した当所第六研究部のメンバーが研究フレームの作製・研究方法等について詳細に検討した上でその作業を(株)野村総合研究所(調査担当代表 倉又孝氏)が担当したものであり,研究の進歩状況,研究項目における結論等を計10回程度の打ち合わせによって整理したものである。
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