長周期地震動に対する超高層建築物等の安全対策に関する検討
建築研究資料 No.127号(2010(平成22年)12月)
※印刷版に先行してPDF版を公表します
大川 出、斉藤 大樹、佐藤 智美、佐藤 俊明、北村 春幸、鳥井 信吾
辻 泰一、北村 佳久、藤田 聡、関谷 裕二、関 松太郎
独立行政法人建築研究所
453p
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<概要> |
超高層建築物や,一部の免震建築物は、建築基準法に基づく告示により定められた方法によって、耐震性能検証用の地震動時刻歴を作成し、それによる地震応答解析により、耐震性能のチェックを行うことになっている。近年、地震動予測手法の高度化や、観測データの蓄積により、わが国周辺の海溝域に生ずる巨大地震による長周期地震動の予測や被害想定などが行われている。
これらの検討によると、推定された地震動は、地域によっては現在想定される同種建物用の設計用地震動レベルを超える可能性がある。
そのため、本検討では近年観測された多数の地震記録に基づいて、想定地震(連動型を含む)の地震規模や震源位置を用いて、設計用地震動の作成手法として、建設地の地震動スペクトルレベルや、位相特性を推定する実験式を作成しその有効性について検討した。この場合、長周期地震動の建築物への影響の観点から、各成分の継続時間特性も考慮できるモデルとしている。
さらに、実験式により近い将来に発生が想定される地震について、大都市圏の代表的地点での加速度応答スペクトルをもとめ、さらに当該地点での地震動時刻歴の作成を行った。
超高層建築物については、RC,鉄骨の別、建物高さの違いを考慮した解析モデルを合計13 種
類作成し、それぞれについて、前記長周期地震動による応答性状の検討を行った。
免震建築物についても、建築物の規模、建設年代、免震装置等の種類により40 種類の解析モデルを作成し、地震応答解析を行い、応答性状の検討を行った。
また、建築設備としてエレベータ、エスカレータをとりあげ、その地震対策について最新の状況と課題の整理を行った。
本資料は、平成21年度国土交通省建築基準整備促進補助事業との共同研究成果物である。 |