既存住宅の省エネルギー改修技術資料
建築研究資料 No.121号(2010(平成22)年4月)
国土交通省国土技術政策総合研究所
独立行政法人建築研究所
152p
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<概要> |
低炭素社会を目指し、我が国の中期目標として2020年までに1990年比の25%の二酸化炭素排出量削減、長期目標として2050年までに1990年比80%の排出量削減が掲げられている一方で、住宅・建築分野における二酸化炭素排出量の増加が続いている。上記長期目標を達成するには、住宅・建築分野では、省エネルギー化の推進による二酸化炭素排出抑制を図ることが必要不可欠である。一方で、我が国の住まいには健康増進、利便性・快適性の向上といった点において、改善や質的向上が求められているところもあり、省エネルギー化と質的向上の二つの課題を同時に解決するために、より合理的な建築技術の確立と普及が求められていると言える。
こういった状況に対応し、国土技術政策総合研究所と独立行政法人建築研究所は、温暖地域に建設される木造戸建て住宅を対象とし、居住時のエネルギー消費量を確実に低減するための実用的設計手法を解説した「自立循環型住宅への設計技術資料」を平成16年に出版した。これをテキストとして日本の温暖地域各地で講習会を開いたが、評判は非常に高く、多くの住宅設計などに関わる実務家から注目されることとなった。一方で戸数の面からも影響力が非常に大きいと考えられる、既存住宅の省エネルギー改修に対する必要性も高まってきており、改修に対応したガイドラインを望む声が多く聞かれるようになった。そこで、国土技術政策総合研究所プロジェクト研究「住宅の省エネルギー性能向上支援技術に関する研究(H17-19)」および独立行政法人建築研究所運営費交付金研究開発課題「建築物におけるより実効的な省エネルギー性能向上技術と既存ストックへの適用手法に関する研究(H18-20)」における研究開発の成果を活用し、住宅の省エネルギー改修に関するフローや各種改修技術の特徴などをとりまとめた「既存住宅の省エネルギー改修技術資料」(以下では「改修技術資料」と称す)を出版するに至った。 |