建築物を対象とした強震観測と関連活用技術の開発
強震観測プロジェクトチーム
建築研究資料 No.102, 2005, 独立行政法人建築研究所
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<概要> |
本研究資料は、平成13年度から15年度に実施された研究課題「公共建物を対象とした強震観測ネットワークの維持管理と活用技術の研究」の研究成果をまとめたものである。
第1章では建築研究所で1950年代から継続して実施されてきた強震観測と本研究
の関係を述べ、第2章では現在の観測体制と本研究期間中に得られた強震記録の
概要、及び2003年十勝沖地震での強震記録と解析結果を記載した。2004年4月時点の観測地点の数は77箇所に及び、2001年から2003年の3年間で700を超える観測記録が得られている。また2003年9月26日の十勝沖地震では、北海道の広尾町や釧路市の観測地点で、貴重な記録が得られている。
第3章には建築物の強震観測を実施している民間機関を対象として実施した建築物の強震観測に関するアンケート調査の概要と分析結果をまとめた。調査では37機関から回答が得られ160棟の観測事例について、観測の目的や対象建物の特性について分析を行うことができた。
第4章には、建築物に設置する強震計の観測記録からその建築物の残余耐震性能を判定する装置についての開発成果を記載している。この装置は建物の上下に設置された加速度計の信号から、建物がどの程度の地震まで耐え得るかをほぼリアルタイムに判定し、表示するものである。
第5章には、強震観測の普及を目的に開発された低コスト地震計の性能評価と観測記録の概要をまとめた。近年、半導体技術を用いたセンサーの導入により観測装置の大幅な低コスト化が図られており、将来の強震観測の普及の鍵を握る技術のひとつである。
最後に第6章では資料の結びとして、研究期間中に議論を続けまとめた建築研究所の強震観測網の今後の方針を記載した。急速に展開が進んだ地盤上の強震観測ネットワークに対応し、建築研究所の強震観測ネットワークは、全国規模の観測網を維持しながら、目的指向型の観測の展開を進めるべきである。
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