■建築研究資料

建築構造工学の研究と設計の現状

第三研究部

建築研究資料  No.9,  1975,  建設省建築研究所


<まえがき>

  当研究所においては,昭和48年度を初年度として,二ヶ年計画の研究課題「建築構造工学のプログラムストラクチャーの作成」を実施してきた。この研究は,年とともに多様性を増しつゝある建築構造研究の展望を行い,均衡のとれた研究の推進を計るとともに,それらの研究成果を有効に設計に反映することを目的としている。
  本資料は,上記課題の一部として取りまとめたものであり,建築構造工学の研究と設計の現状の概観を行っている。
  第一章では建築物の設計に用いられる荷重に関する事項を取り扱っている。設計用の荷重全般に関しては1−1総論で概説してあるが,1−2以下の各論においては,代表的な荷重である固定荷重・積載荷重・地震荷重・風荷重・雪荷重・土水荷重のみを取り扱っている。またこれらの荷重の組み合わせに関しては1−7に記述してある。
  第二章では応力解析法を取り扱っている。応力解析の手法は理論的手法と実験的手法とに大別さて,それぞれの中に,具体的な手法が分類してあるので,本章の記述はこのような体系の枠の中で行っている。応力解析の分野の進歩は近年目覚ましいものがあり,実務設計上も直接に応用の可能な分野である。したがって,この分野の研究情報のストアの方法・アクセスの方法などの情報処理の手法や,種々の解析法の適用性,有効性の評価などに関する研究が大切であるが,これらの事項についてはいまだ組織的な研究が行われていないので,本資料ではふれなかった。
  第三章は各種構造物を取り扱っている。各論の項目の選定に当たっては,従来の慣行にしたがったが,これらの各論はいづれも第一章,第二章と密接に関連しており,むしろこれらの二章の具体例であるともいえないことはない。各種構造物について最も本質な問題は構造ディテールを中心としたいわゆる構造細則の具体的検討であり,これが工学としての構造設計の核心であると思われるが,この点はあまりにも総合的課題であるために研究計画にのせにくいこともあり,今後の課題として残されている。
  以上各章に含まれていない問題としては,安全度・構造計画・施工管理・防災計画などがあり,それぞれ独立の章を設けて検討すべき大切な事項であるが,現在までの研究成果の蓄積はそれほど多くないので第一章〜第三章の関連各項目において簡単にふれるに止めた。


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