国際協力活動                (Last Update: 2018年02月06日)

 日本の国際的地位と科学技術水準の向上に伴い、建築研究所でも国際共同研究や独立行政法人 国際協力機構(JICA)を通じた開発途上国に対する技術援助などを実施しています。
 建築研究所における国際協力活動の歴史は古く、国際地震工学センターでは1962年以来100の開発途上国から1,813名(2017年9月現在、1960年7月から1961年3月まで実施された第1回国際地震工学研修修了生を含む)の研修生を受け入れ、地震学・地震工学・津波防災に関する研修を実施してきました。また、1962年のイラン地震からスマトラ沖大地震(2004年)、パキスタン北部地震(2005年)、ジャワ島中部地震(2006年)、ペルー沿岸部の地震(2007年)、チリ地震(2010年)、ネパール地震(2015年)、そして、2017年のメキシコ地震に至るまで数々の地震被害に関する調査および技術協力を実施してきました。


国際研究機関関連 共同研究・研究協定 海外派遣・受入れ等交流 技術援助


 ■ 国際研究機関関連



 科学技術分野の研究機関にとって、科学技術情報の的確な把握と分析は研究計画を策定する上で極めて重要です。建築研究所は、従来から国内の関連研究機関や大学との研究協力、学会活動による研究交流に努めてきました。
 一方、海外の関連機関との研究活動および情報交換も活発に行っています。例えば、各国の研究機関が集まり、情報交換や研究交流の実施を目的とした国際的な組織がありますが、建築研究所でもこれらの組織に積極的に参画しています。
 建築研究所が定期的に参加し、活動を行っている国際組織であるCIB, RILEM, ISO, FORUM, IEA, ANCRiSST についての概要を以下に示します。

(1)CIB(建築研究国際協議会)

 CIBは、建築・建設産業分野における行政機関の研究所間の国際協力や情報交換を奨励・促進することを目的に、1953年に国連のサポートを得て、Conseil International du Bâtiment (英文名 International Council for Building) として設立されました。
 当初の設立目的は第二次世界大戦後のヨーロッパ諸国の復興にあったため、当時の会員はヨーロッパを中心とする43機関でした。しかしCIBが建築研究界の国際連合のような役割を果たしていこうという動きが活発化しています。現在では行政機関の研究所に限らず、個人や企業も含めて幅広い会員により構成されており、2010年時点で、研究・教育・生産に関わる世界中の約500機関が機関会員として参加しています。また、50を超える国際研究グループが組織され、活発な研究活動が行われています。その活動は建築・建設に関する技術、経済、環境など非常に広い分野にわたっております。
 毎年開催されるCIBの理事会および総会には建築研究所理事が日本の代表として出席しています。さらに、建築研究所の役職員は種々の研究グループ等に参加し、CIBの活動に貢献しています。
 2005年、2013年には東京でCIB理事会及び講演会等の関連行事が開催されました。2013年の関連行事「BIM&IDDS国際セミナー」では、国内外の研究開発について事例発表と活発な質疑応答が行われました。
 CIB理事会は、会長1名、副会長2名等25名以内の理事から構成されていますが、2013年5月の総会で建築研究所の西山理事がCIB理事に選任されました。
 日本国内のCIB会員相互の連絡協調をはかり、CIB諸活動の円滑な運営、発展に寄与することを目的として、1975年2月にCIB連絡協議会(CIB Domestic Council of Japan)が設立されました。現在でも活発な活動が行われており、建築研究所は中心的な役割を果たしています。

(2)RILEM(建築材料・構造に関わる国際研究機関・専門家連合)

 RILEMは建築材料・構造分野の研究交流を目的として1947年に設立されました。現在はCIBと並ぶ世界的な活動を行っています。2016年3月現在の会員数は1,200名以上(日本からは個人会員61名、賛助会員6団体、特別会員2団体)です。建築研究所は日本の主要メンバーとして毎年開かれるRILEMの総会に出席しています。また、建築研究所の役職員は種々の技術委員会に参加して、RILEMの活動に貢献しています。
 日本国内のRILEM会員相互の連絡協調をはかり、RILEM諸活動の円滑な運営、発展に寄与することを目的としてRILEM国内連絡会が設立されており、建築研究所は中心的な役割を果たしています。

(3)ISO(国際標準化機構)

 ISOは物質およびサービスの国際交換を容易にし、知的、科学的および経済的活動分野における国際間の協力を助長することを目的として、1947年に設立された国際的な標準規格を策定するための国際機関です。電気分野を除くあらゆる工業分野の規格を制定しています。2015年現在で161カ国が参加しています。建築研究所の職員は建築分野に関連した種々のTC(TechnicalCommittee)に参加しています。

(4)FORUM(火災研究国際共同フォーラム)

 FORUMは1991年に発足した火災研究を主として実施している各国研究機関の代表者による国際研究推進組織です。建築研究所も火災研究を推進している世界の主な研究機関の一つとしてFORUMの設立当初から参加しています。
 市場・貿易競争の地球規模化、国際基準の標準化推進、国立研究機関の民営化などの動き中で、発足以来、毎年各研究機関の火災研究責任者が集まり、国際共同による火災研究の推進方策を打ち出してきました。
 建築研究所の職員も、火災研究を推進している主要な研究機関として毎回参加しています。

(5)IEA(国際エネルギー機関)

 IEAは石油危機後の供給不安を背景にアメリカの提唱により1974年に設立された、先進石油消費国の国際機関(本部はパリ)です。加盟国は日本を含む29ヶ国(2016年現在)です。当初、OECD(経済開発協力機構)の下部組織でしたが、財務的・人的にOECDから独立した機関として活動しています。
 IEA組織はその目的に応じて5つの常設作業部会から構成されており、建築とコミュニティーシステムにおける省エネルギー研究開発部会として位置づけられたECBCSは現在まで69の作業部会(Annex)を設立して、国際省エネルギー研究を先導してきました。
 建築研究所の職員も

  • Annex41:建築物における熱・空気・湿気の移動
  • Annex43:シミュレーションの検証
  • Annex44:統合的建築概念
  • Annex45:省エネルギー照明
  • Annex57:建築物の建設に伴うエネルギー消費及び二酸化炭素排出量の評価

 などに参加しています。

(6)ANCRiSST(アジア太平洋地域スマート構造技術研究機関ネットワーク)

 ANCRiSSTは2002年、アジア、太平洋地域諸国の先進的な構造技術を研究する機関が設立した組織です。構造物等の性能向上を図るための保守・管理等に関わる革新的な新技術を効率的に研究・開発することを目的としています。
 創設機関は、

  • 米国イリノイ大学アーバナ−チャンペイン校スマート構造技術研究所
  • 韓国高等科学技術院スマート基盤構造技術センター
  • 香港理工大学知的高性能構造センター

 そして日本の

  • 産業技術総合研究所スマートストラクチャー研究センター
  • 建築研究所

 5機関です。現在その他に15機関が正式加盟しています。
 建築研究所の役職員も、ワークショップや理事会に参加しています。

(7)IPRED(建築・住宅地震防災国際ネットワークプロジェクト)

 IPREDはUNESCOの提唱の下、国土交通省の支援を受けて、日本を含む9カ国の地震防災関係の研究機関が参加するプロジェクトです。建築・住宅分野における地震防災研究・研修の国際的なネットワークの構築、地震防災にかかるデータベースの作成及び地震後の地震被害調査体制の整備を推進することなどを目的としており、建築研究所国際地震工学センターは、このプロジェクトのCOEとなって、ネットワークの構築にむけてのアドバイスを行っています。

(8)その他の国際会議、調査等

 上記の国際研究機関への参加以外にも建築研究所が実施する国際研修、国際共同研究、技術協力、国際研究集会への参加は極めて多岐に渡っており、平成8年度〜平成27年度の間に延べ1,612人が海外渡航しました(研究交流促進法第5条による渡航者も含む)。

年度(平成) 8-10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 合計
人数 343 149 118 76 80 76 68 52 76 62 71 76 75 46 70 48 63 63 1,612

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 ■ 共同研究・研究協定                      (Last Update: 2018年02月06日)


 海外の研究機関と協定に基づき共同研究を実施するとともに、両者間で情報交換、研究集会等を行っています。その代表的なものとしてUJNRがあります。それ以外にも二国間科学技術協力協定や国際研究協力協定に基づいた多岐にわたる共同研究を実施しています。

(1)UJNR(天然資源の開発利用に関する日米会議)

 天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)は、1964年、東京で開催された日米貿易経済合同委員会において、天然資源に関する情報、技術資料、専門家や研究材料の交換等の日米両国の協力により、その効率的な開発と利用を図ることを目的として設置が決定しました。
 建設分野では、UJNRの各部会のうち、耐風・耐震構造専門部会(幹事:国立研究開発法人土木研究所)、防火専門部会(幹事:国立研究開発法人建築研究所)、地震調査専門部会(幹事:国土交通省国土地理院)を開催しています。

耐風・耐震構造専門部会

 UJNRの専門部会として1969年に第1回合同部会が東京で開催され、以後、日米交互に開かれています。相手側機関は米国国立標準技術研究所(NIST)です。同部会の目的は、両国で行われてきた構造物の耐風耐震設計法の研究成果に関する意見交換、設計基準を改正する上での問題点に関して実施された調査研究成果の交換、強風、強震、津波と高潮により生じる災害から人命および財産の損失を防止するための総合的対策、技術分野の開拓などです。建築研究所からは多数の職員が会議に出席しています。

防火専門部会

  UJNRの専門部会として1976年にワシントンで第1回合同部会が開かれ、おおむね1年半毎に日米交互に開催されてきました。相手側機関は米国国立標準技術研究所(NIST)です。部会の目的は建築火災および建築と材料等の燃焼による人的、物的被害を防止し、ひいては公共の福祉増進に資することにあります。日本側部会長は建築研究所理事長です。建築研究所の職員が積極的に参加し活動を進めている専門部会の一つです。2000年3月にサンアントニオで開催された第15回部会において、以後は規模を縮小し、個別テーマのワークショップや共同研究を実施することになりました。
  平成25年度には、これまでの協力関係を促進するため、NISTとの間で研究協力協定を締結し、これに基づいて研究者を受け入れて共同で実験を行っています。その成果は国際ジャーナルやシンポジウムで発表し、高い評価を得ています。

地震調査専門部会

 当初、地震予知技術の開発を目的としていましたが、後に地震発生過程の基礎研究やリアルタイムの地殻活動監視技術等にも課題を広げたため、1996年9月に当初の「地震予知技術専門部会」から「地震調査専門部会」に名称を変更しました。相手側機関は米国地質調査所(USGS)です。地震災害の被害軽減に資することを目的に、研究者の交流、観測機器の開発、観測手法の研究および観測データの交換等に関する共同研究を実施しています。

(2)海外の研究機関等との研究協定

 建築研究所は、海外の研究機関等との研究協力を適切に推進するため、研究協力協定を締結しています。

国際研究協力協定一覧

相手国

相手機関等

協定内容

締結時期

フランス 建築科学技術センター
(CSTB)
建築科学技術分野における研究協力協定 2017年更新
(1985年)
韓国 韓国建設技術研究院
(KICT)
建設技術交流の分野における研究協力共同協定 2012年更新
(2001年)
韓国 韓国高麗大学校 都市計画分野における研究協力協定 2013年
カナダ ブリティッシュ・コロンビア大学
(UBC)
構造・耐震工学分野における共同研究協定 2012年
カナダ カナダ天然資源省技術革新・エネルギー技術局
(CANMET)
住宅および商業用建築物のエネルギー技術研究における協力に関する覚書 2013年
米国 米国国立標準技術研究所
(NIST)
建物火災に関する研究協力協定 2017年更新
(2013年)
EU EU共同研究センター・市民防護セキュリティー研究所
(IPSC)
EU共同研究センター・市民防護セキュリティー研究所(IPSC)との共同研究協定 2014年
フィンランド フィンランド技術研究センター
(VTT)
フィンランド技術研究センター(VTT)との研究協力協定 2015年
ニュージーランド ニュージーランド地震リジリエンスセンター
(QuakeCoRE)
地震工学分野の研究協力に関する覚書 2016年
米国 米国ウースター工科大学
(WPI)
火災研究分野に関する研究協力協定 2017年
インドネシア インドネシア国公共事業省 人間居住研究所(RIHS)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2010年
チリ チリ国カトリカ大学(PUC)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2011年
トルコ イスタンブール工科大学 (ITU)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2012年
ペルー 日本・ペルー地震防災センター(CISMID)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2012年
ルーマニア ブカレスト工科大学 (UTCB)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2012年
カザフスタン カザフスタン教育科学省 地震研究所(ISMES)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2012年
エルサルバドル エルサルバドル大学(UES)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2012年
メキシコ メキシコ内務省国立防災センター(CENAPRED)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2013年
エジプト エジプト国立天文地球物理研究所(NRIAG)
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)
震災リスクの軽減と震災後の現地調査活動に関する協力協定 2015年


二国間科学技術協力一覧
(日本政府と外国政府間で締結される包括的な科学技術協力分野の協定)
相手国 相手機関等 プロジェクト名 開始時期
米国 米国国立標準技術研究所(NIST) 天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)耐風・耐震構造専門部会 1969年
米国 米国国立標準技術研究所(NIST) 天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)防火専門部会 1975年
米国 米国地質調査所(USGS) 天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)地震調査専門部会 1978年
米国 米国地質調査所(USGS) 構造物と地盤の動的相互作用に関する日米ワークショップ 2000年
カナダ FPイノベーション(旧フォリンテック・カナダ公社) 木造建築物の耐震研究 1996年
カナダ ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC) 軸組構造の信頼性設計法の開発 2000年

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 ■ 海外派遣・受入れ等交流                    (Last Update: 2018年02月06日)


(1)海外派遣等

 科学技術庁在外研究員制度(平成12年度まで)、国立研究開発法人建築研究所研究派遣規程、外国研究機関等からの招聘制度他による平成8年度〜平成29年度における海外派遣者(派遣期間3ヶ月以上のもの、ただしJICAの長期専門家を除く)の数は以下のとおりです。

  • 科学技術庁長期在外研究員:5人
  • 科学技術庁中期在外研究員:1人
  • 科学技術庁パートギャランティー:2人
  • 建築研究所研究派遣規程による長期派遣研究員:6人
  • 建築研究所研究派遣規程による短期派遣研究員:1人
  • 建築研究所研究派遣規程による特別派遣研究員:2人
  • 外国研究機関等からの招聘他:3人

(2)外国人受入研究員

 外国人研究者招聘制度等による招聘、外国政府等負担による受け入れなどの外国人受入研究員(ただしJICAの個別・集団研修によるものは除く)は平成8年〜平成28年度の間で延べ421人でした。

(3)見学者

 平成8年〜平成28年度の間に海外から建築研究所を訪れた見学者は延べ約4,000人でした。

年度 8-10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 合計
件数 125 15 17 19 27 21 18 23 19 26 20 20 30 30 16 18 17 27 20 478
人数 609 138 147 162 262 174 132 145 176 282 237 170 333 329 117 111 93 240 210 4,067

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 ■ 技術援助


(1)国際研修(主にJICAより受入)

a)集団研修および地域別研修(国際地震工学センターによる研修)

 国際地震工学センターでは、ほぼ1年間の研修(通年研修コース)と、約2ヶ月間のテーマや対象国を定めた研修である「セミナーコース」を実施しています。また、これも約2ヶ月間の「グローバル地震観測コース」研修も実施しています。更に、要請に応じて開発途上国から研究者を個別に受け入れる研修を並行して実施しています。これらの研修をあわせて国際地震工学センターでは2016年3月までに、延べ100ヵ国1,714名の研修生を受け入れて来ました。
  1. 通年研修コース
     現在、「地震学コース」、「地震工学コース」、「津波防災コース」に分かれて実施しています。2016年3月までに、延べ81ヵ国1,121名の研修生を受け入れて来ました。
     なお、2005〜2006年のコースから、政策研究大学院との連携により修士号を授与しています。
  2. セミナーコース
     平成21年〜24年には、四川大地震(平成20年)に対する日本政府の復興支援策の一つとして中国耐震建築研修を実施しました。2ヶ月間の研修は中国語で実施され、4年間で72名の研修生がIISEEで構造技術について学びました。これらの研修生は帰国後324人の地方のエンジニアに講義を行い、さらに、それらのエンジニアが、8,833人の地方の専門技術者に技術指導を実施しました。
     平成26年6月からは、地震災害が頻発する中南米地域を対象にして、指導言語としてスペイン語を用いた中南米地震工学コースを実施しています。2016年3月までに、延べ6ヵ国30名の研修生を受け入れて来ました。
  3. グローバル地震観測研修
     このコースは、平成7年、外務省からの要請によって開始され、核軍縮に対する日本政府の国際貢献策として、気象庁、国際協力事業団(JICA)の協力の下に実施しています。研修生は、核実験禁止条約(CTBT)や国際監視制度(IMS)において重要な役割を担います。講義では、核実験探知や地震に必要な地震観測技術、自然地震と核実験を識別するデータ解析技術を修得します。2016年3月までに、延べ70ヵ国208名の研修生を受け入れて来ました。
  4. 個別研修
     高い学識と専門的経験のある研修生を対象とした研修です。研修生は、IISEEの指導者と共に研修生自身のテーマにそった研究を個別に実施します。 2016年3月までに、延べ55カ国283名の研修生を受け入れて来ました。

b)地域別研修

 2009年から2011年まで、JICAと連携して約8週間の「建築環境技術研修」を毎年開催し、インドネシア、サモア、中国及びベトナムからの研修生を対象に、建築環境設計の基礎知識や建築研究所が開発した蒸暑地域向け省エネ住宅設計技術などの普及を図りました。

c)その他の研修生受入

 JICA課題別研修「建築防災(地震、津波、火災、台風等に対して)」の研修カリキュラムの一部を建築研究所で担当し、2012年から2015年に、延べ18ヶ国52名の研修生を短期に(3日間)受け入れました。

(2)海外地震被害調査および復旧技術協力等

 1962〜2015年の間に数々の地震災害調査に多数の建築研究所職員が派遣されました。特に1985年のメキシコ地震には過去に例をみない人数が建築研究所から調査団に加わり、被害調査及び復旧技術協力活動を積極的に行いました。また、1999年のトルコのコジャエリ地震および台湾地震、2003年アルジェリア地震、2004年スマトラ沖大地震の際は、国際緊急援助隊の一員として職員を派遣しました。
 建築研究所がこれまでに取り組んできた地震防災に関する主な復旧技術協力を以下に示します。活動内容は、地震・強震観測の強化、建築耐震技術に関する実験研究、研修事業及び技術の普及と多岐にわっています。各々の国における専門家の育成、研究成果を活用した耐震基準の策定など、地震防災に大きな貢献を果たしています。また、プロジェクトによって設立された防災センター(メキシコ国立防災センター、日本・ペルー地震防災センター、トルコ地震防災研究センター)は、地域の地震耐震研究・地震防災活動の拠点となりつつあります。

a)インドネシア(1980年〜2011年)

 耐震工学、防火、住宅政策及び建築材料の分野に精通した長期および短期専門家として建築研究所職員を多数派遣し、技術協力を実施してきました。1993年11月からの5ヵ年は、集合住宅適正技術開発プロジェクトを実施しました。なお、2005年6月から2007年6月に集合住宅適正技術開発フォローアッププロジェクトを実施しました。
<紹介記事>インドネシアにおける集合住宅適正技術開発(社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2006年7月号より転載)

b)ルーマニア(2002年〜2008年)

 ヨーロッパ有数の地震国であるルーマニアにおいて、地震発生時の甚大な建築物崩壊を減少させる技術の普及を目的としたプロジェクト「ルーマニア国地震災害軽減計画」が2002年10月から2008年3月までの5年間半の計画で実施されています。長期および短期専門家として建築研究所職員を多数派遣しています。なお、プロジェクト方式技術協力の開始と日本・ルーマニア地震防災センターの設立にむけた計画案の策定を行うため、プロジェクト開始以前の2000年3月より2年間長期専門家を派遣しました。
<紹介記事>ルーマニア地震災害軽減計画プロジェクト (社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年6月号より転載)

c)エルサルバドル(2003年〜2012年)

 エルサルバドルに対する「耐震普及住宅の建築普及技術改善プロジェクト」(2003年〜2008年)、「低・中所得者向け耐震住宅の建築技術・普及体制改善プロジェクト」(2009年〜2012年)の実施に協力しました。この間、短期専門家として建築研究所職員を派遣しました。これらのプロジェクトの成果を基に、2014年にコンクリートブロック造の住宅等に関するエルサルバドルの正式な技術基準が制定されました。

<別添>エルサルバドルへの技術協力が建築基準として結実

建研スタッフによる構造解析の指導

アドベ造(日干しレンガによる組積造)の構造実験


d) ニカラグア(2010年〜2013年)
 カラグアに対する「マナグア湖南部流域におけるマルチ・ハザード調査研究」(2010年〜2012年)、「地震に強い住居建設技術改善プロジェクト」(2010年〜2013年)の実施に協力しました。この間、短期専門家として建築研究所職員を派遣するとともに、その後のフォローアップにも協力しています。
e)メキシコ(1987〜1997年)
 メキシコ国立防災センターの設立に当たり多くの技術協力を行ってきました。1990年4月から5ヵ年間実施されてきた地震防災プロジェクトを2ヵ年間延長し、地震観測と耐震構造に関する技術協力が行われ、この間に長期および短期専門家として建築研究所職員を多数派遣しました。
<紹介記事>メキシコ地震防災プロジェクト (社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年8月号より転載)
f)トルコ(1993〜2000年)
 1993年4月から5ヵ年間実施されてきた地震防災研究センタープロジェクトを2ヵ年間延長し、建築物の耐震技術に関する技術協力が行われました。この間、短期専門家として建築研究所職員を多数派遣しました。
<紹介記事>トルコ地震防災研究センタープロジェクト (社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年7月号より転載)
g)中国(1990年〜2013年)
 都市型普及住宅研究開発に関する技術協力を1990年から3ヵ年間実施しました。1995年から5ヵ年の計画で、住宅に関する新技術の研究およびその普及を目的とした住宅新技術研究・人材育成センタープロジェクトの実施に協力しました。
 2009年から4ヵ年実施された、耐震建築人材育成プロジェクトに協力しました。この間、短期専門家として建築研究所職員を多数派遣した他、研修生の受け入れも行いました。
h)ペルー(1978〜1993年)
 日本・ペルー地震防災センターを設立し、地震工学、都市防災に関する技術協力を実施し、1986年にRD締結後、長期および短期専門家として建築研究所職員を多数派遣しました。
<紹介記事>土質材料による構造物の耐震性に関するセミナーへの参加報告[1] (社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年8月号より転載)
<紹介記事>土質材料による構造物の耐震性に関するセミナーへの参加報告[2] (社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年9月号より転載)
<紹介記事>日本・ペルー地震防災センタープロジェクト(社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年10月号より転載)
<紹介記事>ペルー−日本の協力関係を基盤とする活動展開の紹介(社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年10月号より転載)
i)チリ(1988年〜2012年)
 耐震構造、土質地盤及び地震動に関する研究協力を行ってきました。この研究成果を基に、1995年10月から3ヶ年間で構造物群の地震災害軽減技術に関する研究協力を実施しました。
<紹介記事>チリの構造物耐震設計および地震災害軽減技術研究協力プロジェクト(社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2006年4月号より転載)
 2010年からは、地震・津波対応能力向上に関するプロジェクトに、協力しています。
l)その他
  • タイ(土地利用)、ブラジル(防火技術)、フィリピン(交通計画)、カザフスタン(アルマティ市における地震防災および地震リスク評価に関するモニタリング向上)、エジプト(地震学研究)、ネパール(地震学研究)等の技術協力を実施しました。
  • ヴェネズエラ、フィリピン、イラン等について、開発調査の作業監理委員会委員として協力を実施しました。
  • 世界銀行が担当しているアチェ復興のための住宅建設プロジェクトに対して技術支援を行いました。
  • JICA「ネパール地震復旧:復興プロジェクト」に対して技術支援を行っています。
<紹介記事>アルマティ市における地震防災及び地震リスク評価に関するモニタリング向上 (社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2005年9月号より転載)
<紹介記事>2004年スマトラ沖地震被災地(バンダアチェ)の復興状況、復興事業の動向について(社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2006年5月号より転載)
<紹介記事>エジプト地震学研究協力(社団法人日本住宅協会機関誌「住宅」2006年1月号より転載)

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